マンション管理組合の管理は、自治という観点を重視して区分所有者による理事会が中心となって管理組合運営を行うことが主流となっています。しかし、高経年マンションにおいて組合員の高齢化や賃貸化が進行し、役員の担い手不足等が深刻となるなか、平成28年3月に「マンションの管理の適正化に関する法律」が改正され、第3条4項に「外部専門家が管理組合の管理者等に就任する場合には、マンションの区分所有者等が該当管理者等又は役員の選任や業務の監視等を適正に行うとともに、監視・監督の強化のための措置等を講じることにより適正な業務運営を担保することが重要である。」との条文が追記されました。
また、国土交通省では、「マンション標準管理規約」を平成28年3月に改訂し、第35条4項に「管理組合以外の者から理事又は監事を選任する場合の選任方法については細則で定める。」の条文が追加されました。さらに、平成29年6月には、外部専門家である役員の適正な業務運営を担保するための措置の具体例を示すものとして、「外部専門家の活用ガイドライン」を整備し公表しました。
このような環境の中、近年、マンション管理業者が管理事務を受託するのに加えて管理者として選任される事例や、新築マンションにおいて、管理業者が管理者に就任することを前提として分譲が行われる事例が出てきています。このような管理事業者管理者方式での運営方法によっては、区分所有者の意思から離れた不適切な管理、管理組合と管理業者との利益相反の発生、管理業者に支払うコストの増大等が生じるおそれがあります。
このため、国土交通省では、管理業者管理者方式を含む外部管理者方式等における留意事項について整理を行い、従来の「外部専門家の活用ガイドライン(平成29年6月)」を再構成し、「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」として策定し公表しました。
今後、組合員の高齢化、賃貸化が進み役員の担い手確保に苦慮する管理組合が益々多くなると考えられます。貴管理組合においては、この様な事態に陥る前に、「外部管理者方式等に関する検討」を進めたら如何でしょうか。検討に当たっては、先ずは専門家であるマンション管理士等に相談することが解決の糸口になると存じます。マンション管理士が「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」を紐解いて、メリット・デメリット、留意事項等について解りやすく解説し、貴管理組合の独自の慣習等を加味した外部管理者方式等について助言・指導その他援助等を行います。きっとお役に立てると存じます。