マンションの良好な居住環境を確保し、資産価値の維持・向上を図るためには、適宜適切に修繕工事の実施が不可欠です。しかし、修繕工事には、多額の費用がかかり一括で徴収することは困難ですので、月々に修繕積立金として徴収し安定的に確保することが重要です。
修繕積立金の積立方式としては、計画期間中の積立額を均等とする「均等積立方式」、 計画期間開始当初の積立額を抑え、期間中で段階的に増額していく「段階増額積立方式」があります。 将来にわたって安定的な修繕積立金の積立てを確保する観点からは、均等積立方式が望ましい方式といえます。
一方、段階増額積立方式を採用するマンションの中には、計画期間中の修繕積立金の水準が大幅に上昇している例があり、予定通りの引上げができず修繕積立金の不足につながるおそれがあります。 こうした状況に対応するため、国土交通省では、令和6年6月7日に「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」及び 「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の改定について公表しました。
一般に、マンション購入者は、分譲会社から「段階増額積立方式」による修繕積立金の提示を受けますが、積立方式に関して必ずしも十分な知識を有しているとは限らず気に掛けることが少ないと考えます。その後10数年が経過し、大規模修繕工事を計画する時期になると、修繕工事の資金計画について関心が高まり、当初の修繕積立金の月額が著しく低く、今後の修繕積立金が段階的に増額(高額)になることに気づかされ将来不安を感じることになります。
貴管理組合の修繕積立金は、管理会社に任せているから大丈夫だと思いこんでいませんか。今一度、貴管理組合の積立方式について確認しては如何でしょうか。かりに積立方式が「段階増額積立方式」であれば、修繕積立金の不足につながるおそれなどの将来不安を払拭するため、「修繕積立金の積立方式等に関する検討」を進めたら如何でしょうか。検討に当たっては、先ずは専門家であるマンション管理士等に相談することが解決の早道になると存じます。マンション管理士が「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」ついて紐解いて解説し、貴管理組合の修繕積立金等について助言・指導その他援助等を行います。きっとお役に立てると存じます。