分譲マンションなど区分所有建物の管理関係や建物の共用部分、敷地の管理運営などは、区分所有法にて基本的事項が定められています。しかし、区分所有法の条文中には、「規約で別段の定めをすることを妨げない。」、「規約で定めることができる。」などの「規約」に関する記述が多く含まれています。このことは、管理組合において「規約」を制定することで、私法自治に関する一定の裁量権が委ねられているといえます。実際、多くの管理組合では、区分所有法に基づいた区分所有者間のルールとして「管理規約」が定められています。
その管理規約は、組合員・居住者等がその内容を理解し規定を守ってこそ、マンションの適切な維持管理が実現します。しかし、時代の流れとともに、組合員・居住者等の「生活スタイルの変化」、「区分所有法の改正」、「ルール違反の増加」など、現行の管理規約を改訂すべき事象が現存することとなります。
管理規約の変更は、総会決議(特別議決)となりますので、組合員・居住者等の合意形成等にあたり、一般的に総会開催までに以下の一連のプロセスを踏むことが大切です。
1)まず始めに、理事会にて変更の必要性、変更によって不利になる居住者はいないか、住民全員にと ってメリットがあるかを議論し変更項目等を抽出します。
2)なお、必要に応じて理事会の下部組織として専門委員会(「管理規約変更委員会」)を立ち上げるのも一案です。
3)次に、理事会としては、居住者等を対象としたアンケート調査にて管理規約変更項目等について、意見・要望等を収集し、その結果を基に管理規約変更案を作成します。
4)その後、住民説明会を開催し、管理規約変更案について丁寧に説明し変更の是非を問い、
5)変更が必要と判断できた段階で総会を開催し決議することとなります。
このように、管理規約の変更を行うことは、マンション管理に関する知識と改訂作業に費やす資料作成業務、照会、調整業務が必要であり、現状、理事会役員等には、並大抵でない熱意・決意等が必要です。
更に、管理規約には無い慣習・ルール、団地であるが単棟マンションタイプの規約での運用など、当事者だけで取り組むのは難しい場合も多々あります。
そこで、管理規約の見直しや改定を検討される際には、私たち、マンション管理に関わる区分所有法や管理規約等にも精通した専門家(マンション管理士等)を活用される方策も検討されてはいかがでしょうか。きっとお役に立てると存じます。