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管理組合総会の進め方(Q&A)

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マンション管理組合の総会は、管理組合の最高の意思決議機関です。その総会に初めて議長に就任される方は、何かと気苦労が多く緊張するものです。そのような議長の参考になればと、管理組合総会の進め方、留意点についてQ&A形式でまとめました。

<総会の議案>

【総会決議を要件とされる議案】

必ず総会で決議しなければならない議案とは?

・法律により総会で決議することとされている事項
・管理規約により総会で決議すべきものとされている事項

【長期修繕計画の策定と工事の実施】

長期修繕計画の策定が議案とされている。計画の内容には、修繕の予定周期、工事名称、予定金額が記入されている。この計画が承認されれば、工事の実施について包括的に決議されたことになるのか。

長期修繕計画についての総会決議とは別に、その計画に基づく工事を施工する際は、改めて当該工事に係る総会決議が必要となります。

【規約改正の議案の内容】

管理規約の改正を検討しているが、必ず総会で決議しなければならない議案とは?議案である管理規約改定案は、どのような点に考慮する必要があるか

・法律の規定に反するような規約案は作成できません。
・規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の賛成による特別決議が必要ですが、規約の設定、変更または廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、その承認を得ることが必要です。

【通知事項以外の議題】

規約により総会の議題は予め通知した事項に限るとされている。通知した議案の関連議案でも決議できないか。

・規約に別の定めがある場合には、特別決議事項を除き決議できます。
・議事進行に関する動議や提案事項については、決議できます。

<総会の議事進行>

【開会宣言前の紛糾に対応する者】

総会の開会宣言前に提出議題に問題ありとして混乱したときは、誰が対応するのか。

・開会前に混乱が起こったときは管理者がその収拾にあたります。
・開会前は、たとえ議長が予定されていても正式に議長とはなっていません。従って、総会招集者の管理者(通常は理事長)が対応することになります。

【退場を命じることができる場合】

議長が退場を命じることができる場合とは、どのようなときか。

・議長が退場を命じることができる場合は以下のようなケースが考えられます。

  1. 出席資格がないことが判明した場合
  2. 議場を混乱させ、総会の秩序を乱した場合
  3. 議長の命令に従わなかった場合

【カメラ、テープレコーダー、等の持ち込み】

総会会場へのカメラ、テープレコーダーなどの持ち込みを制限できるか。

・原則としてカメラ、テープレコーダーなどの持ち込みは、審議を妨害しない限り制限できません。

【質問の制限1】

区分所有者が質問を求める以上、質問希望者全員にその機会を与えなければならないか。発言の順序、同一質問、類似質問の制限などはどのようにすればいいのか。

・当該議題に関し、決議をするための合理的に判断するに必要な程度の説明がなされていれば、 必ずしも質問を希望する区分所有者全員に質問の機会を与える必要はありません。
・発言の順序は、発言要求の先後を中心に議題についての審議状況を勘案し議長が決定します。
・同一質問や類似質問の許可、制限については、議題について必要な審議が尽くされたか否かを 中心に勘案し、議長が決定します。

【質問の制限2】

議事進行をスムーズにするため、総会出席通知状に質問事項を記入してもらい、会場での質問は受け付けないとすることはできないか。

・会場での質問を受け付けないとすることはできません。

【質問の制限3】

規約で代理人を区分所有者に限るとしていない場合、区分所有者でない代理人の質問は認めないとすることはできるか。また、管理規約にこの旨を定めた場合はどうか。

・代理人として出席を認めた以上、代理人が区分所有者であるか否かにかかわらず、その質問を拒否することはできません。規約で定めてもその規約の定めは無効となります。

【質問及び審議の打切り】

議論が堂々めぐりで収拾できない場合はどうするのか。質問者の質問を打ち切ることができる場合、また、質疑・討論を打ち切って採決に移行することができる場合はどのようなときか。

・次のような場合、議長は質問を打ち切ることができます。

  1. 質問に対し、既に管理者側から客観的に相当な程度の説明がなされたとき
  2. 質問事項が議題を合理的に判断するために必要なものとはいえないとき
  3. 質問が議題に関しない等、質問を拒否する正当な事由があるとき
  4. 一つの質問又は一人の質問が議題との関係で合理的限度を超えて長時間となったとき

・議論が堂々めぐりとなって、いつまでも終わらないときは、議長は上記の状況により質問を打ち切り審議を打ち切ります。

【管理者以外の役員に対する質問】

管理者以外の管理組合役員に対してなされた質問には、その指名された役員が回答しなければならないか。

・質問者の指名に拘束されることなく、管理者或は他の適切な役員が回答して差し支えありません。

【説明を拒否できる場合とその判断】

質問に対して説明を拒否することはできるか。拒否できるか否かは誰の判断によるのか。
  1. 質問が会議の目的(議題)に関しないものである等、説明を拒否すべき正当な事由があるときは説明をする必要はありません。
  2. 説明をするかしないかの判断者は、一次的に議長、二次的には説明義務を負う者(管理者、役員等)となります。

【即答できない場合の措置】

即答できない質問にはどのように対応したらいいのか。後日に文書で、或は次回の総会で解答すればいいのか。

・説明(答弁)をするのに調査を要する質問であれば回答をしなくても差し支えありません。
・後日に文書等で解答することは望ましいことですが、法律上の義務はありません。

【補助者による説明】

質問に対して補助者(管理受託業者、マンション管理士等)に説明させることはできるか。

・補助者に説明させて差し支えありません。

【事前に提出された質問事項】

総会に先立って管理者に提出された質問事項には、すべて答えなければならないか。

・質問事項が、議題に関連しないものである等、説明を拒否することができる正当な事由がある場合を除き、回答する必要があります。ただし、説明拒否事由の一つである「説明するのに調査を要するとき」は、原則として説明拒否事由とならないと考えられます。

【関連案が出されたときの対応】

議題として「管理受託会社の変更に関する件」「その他」とだけ記載されている。管理会社の変更に伴い、現行の管理費1平方メートル当たり月額300円を350円に変更しなければ、新管理会社と管理委託契約を締結できない。この点は理事会で討議し決定したもので、組合員も概ね了承していること思われること、また、議題に関連することでもあるので、管理会社の変更とともに管理費値上げ問題を総会の場で提案し可決していいか。

・このような場合、管理費の値上げは議題の追加となるので許されません。
別議案として審議する必要があります。

<総会の決議と効力>

【区分所有者に対する決議の効力】

総会の決議は、区分所有者に対してどのような効力を及ぼすか。

・総会の決議は、区分所有者全員に対し管理組合構成員間のルールとして法的拘束力を有します。

【決議の効力と管理規約の効力】

総会の決議の効力と管理規約の効力には、差異があるか。

・総会決議と規約は、その効力自体に差はありません。しかし、規約で定められた事項については、規約の効力が総会の決議に優先します。(管理規約に反する決議は、効力を生じない

【捺印のない委任状、議決権行使書の取扱い】

区分所有者の氏名のみで捺印のない委任状や議決権行使書面が提出された場合、正規のものとして取り扱っていいか。なお、管理規約には組合員の印章の届出義務はない。

・署名のみで捺印がない委任状等であっても特段の疑義がなければ正規のものとして差し支えない。
・氏名が印字されている記名の場合には、原則として捺印が必要と考えられます。

【委任状、議決権行使書面の同時提出】

出席通知状、委任状、議決権行使面が一葉となっていて、この全部を記載して一緒に提出してきた。どう取り扱ったらいいか。

・出席通知を優先することは、明確ですが問題は委任状と議決権書面の取り扱いです。
・議決権書面に明確に意見が反映されている場合には、これを委任状に優先させます。また、1号議案:A氏に委任、2号議案:議決権行使書面、賛成に●のような場合、明確であればこれに従うことがいいと考えます。

【白紙委任状の取り扱い】

委任の相手方も委任の内容の記載もない委任状が提出された。どう取り扱ったらいいか。

・白紙の委任状も有効な委任状として取り扱って差し支えありません。
・総会にあたり白紙委任状が提出されたときは、その議決権行使について提出を受けた管理者等に「受任者の選択、賛否の意見等」について全て任すという趣旨に解して差し支えありません。

【委任状未提出の場合は賛成とみなすとの取り扱い】

委任状が提出されない場合は、総会の議題につき賛成とみなす」との取り扱いは有効か。また、規約で定めた場合はどうか。

・委任状が提出されない場合は、総会の議題につき賛成とみなすという取り扱いは許されません。
・そのような通知も、そのような取り扱いも違法であり効力がありません。規約で定めた場合も同様です。

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